理系人材 ベトナムで求ム

中小企業、エンジニア不足で
姫路経営者協会-現地面接、16人採用

中小企業の人材確保が厳しさを増す中、播磨地域の企業がベトナムに熱い視線を送っている。
姫路経営者協会(姫路市)は3年前、会員企業に募り、兵庫県内の他地域に先駆けて現地で合同面接会を開始。同国のエンジニアの”卵”たちの働きぶりは真面目で、受け入れが広がりつつある。ベトナム戦争後、姫路には難民を支援する国内初の「定住促進センター」が置かれた経緯もあり、背景にはそうした結びつきの強さもある。(金 旻革)

「日本で働きたいという意欲が高い。期待できる。」
工場用の貯水タンクやダクトを製造する共立工事(姫路市大塩町)の梶浦雅丈専務(41)は先月、ベトナムの首都ハノイを訪れた。8人の若者と面接し、男性2人の採用を決めた。
同社は従業員約20人の零細企業。事業の拡大を見据え、エンジニアの確保を試みたが、国内の工業高校や大学の学生には見向きもされなかった。そこで頼ったのが、同協会が行う合同面接会「ステップ・ハリマ・イン・ハノイ」だった。

今もベトナム人居住者が多い姫路。同協会は「(両地の)架け橋になろう」と2014年以降、ベトナムで人材紹介を行う会員企業の協力で、同国の理系新卒者や卒業生を対象に面接会を開催。昨年までに3回実施し、播磨地域の企業10社が16人を採用した。
経営者団体が海外で合同面接会を開くケースは少ないといい、同協会の担当者は「国内では地名度の低い中小企業でも、ベトナムでは日本企業として関心が高い」と手応えを話す。
同国の名門ハノイ工科大出身のズォン・ディン・ロンさん(26)は2年前、合同面接会を経て工場用集じん機を製造する梶原鉄工所(同市飾磨区恵美酒)に入社。同社では初の外国人エンジニアとなった。
大学で機械設計を学び、自国の環境を改善したいと考えたが、知識を生かせる産業がなかった。「日本で更に技術を学び、いつかベトナムに貢献できたら」とロンさん。
一方、同鉄工所の八幡英昌取締役(53)は「ベトナム人の採用で現地にネットワークが広がれば、海外進出の足掛かりにもなる」と期待する。
同協会が海外に活路を見出そうとした背景には、業績が回復した大手企業の雇用拡大による”売り手市場”がある。
民間調査会社、帝国データバンクが7月、全国約1万社に行った調査では、過去最高の45%の企業が正社員の不足を訴えた。姫路商工会議所が3月、約千社に聞いた調査でも、人手不足は約70%を占め、中小企業は採用で苦戦していた。
同協会の村瀬利浩専務理事(64)は「少子化でさらなる人手不足の加速が見込まれ、中小企業こそ海外に目を向ける必要がある。そうすれば地域経済にもいい波及効果をもたらしてくれるはずだ」と力を込める。

外国人労働者 増加の一途

国内の外国人労働者数は近年、右肩上がりで増えている。
厚生労働省によると、昨年10月には108万3769人に達し、前年比19.4%増と4年連続で過去最多を更新。国別では中国が34万4658人と最多で、ベトナムの17万2018人が続く。
増加率は中国が前年比6.9%増に対し、ベトナムは56.4%増と大きく上回った。
兵庫県内の外国人労働者も年々増えており、昨年は2万3683人。中国が最多の8283人で、ベトナムは2番目の6113人だが、増加率は全国と同様にベトナムが最も大きい。
本格化する人口減少を見据え、政府は15〜64歳の生産年齢人口が2065年に4529万人になると推計。15年からは4割以上も減ることになる。
こうした事態を受け、経済界は今後も外国人を積極採用する方針を示す。経団連は昨年11月、技術者などの高度人材だけでなく、介護分野での外国人労働者の受け入れ拡大を提言した。
兵庫県経営者協会の林直樹専務理事は「海外の人材を雇うのは一つのやり方」とした上で、「仕事のあり方を見直し、生産性をさらに高めることも重要ではないか」と強調する。(金 旻革)

(2017年12月18日 神戸新聞に掲載)

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